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 '04/03/15 鑑別書・鑑定書について(其の肆)
(其の弐)でお話した鑑別書の項目で、(13)の拡大検査も重要な項目の一つで、宝石の内包物を調べる検査です。鑑定書や鑑別書の記載で確認できるのですが、私は必ず商売道具の『10倍ルーペ』を使って、目で確認します。それでも、わからない時、詳しく見る時には『顕微鏡』で見ます。処理した(後で色を改変した)商品であるかそうでないかということが、この検査で確認でき、また、その結果は、価格に大きく影響してきます。
以上、駆け足で鑑定書と鑑別書の違い及びその内容について、4話にわたって説明してきました。もう、皆様もお分かりでしょうが、われわれ質屋も、大いに参考にする書類です。ですから、指輪などについてくる鑑別書や鑑定書は捨てないで持っておき、質屋を利用する際は、持参するように心掛けたほうが良いでしょう。 このテーマの締めくくりに、保証書についてお話しましょう。保証書は、宝石の場合でいえば、『間違いなく、ここのお店で買いましたよ。』という証明書のようなものです。ですから、アフターなどの時には重要な書類になります。しかし、質屋を利用する場合は、必要のあるものではありません。ただ、これがブランド商品になると話が別です。例えば、ティファニーなどの商品の場合は、保証書の有無で価格が違ってくる事を、皆様も覚えておかれたほうが良いと思います。



 '04/02/27 鑑別書・鑑定書について(其の参)
(其の弐)でお話した鑑別書の項目で、(4)の重量についてご説明します。
宝石は指輪やネックレスなどの商品になっているものが多いので、裸石にして(枠からはずして)石の大きさ(石目)を量るという事はできません。鑑別書には製品に表示された刻印が、書き込まれます。例えば、指輪に[268 D120]と刻印されていたら、 [中2.68 D1.20]と書き込まれます。ここで気をつけないといけない点があります。『D』と刻印されていれば、ダイアモンドが1.20であるという事がわかります。しかし、『D』がなかった場合、どちらの数値がダイアモンドであり、また中石なのか、大きな違いです。また、単純に石目の単位を間違ったりする事も考えられます。2.68なのか0.268なのか!?とても初歩的なことなのですが。  ダイアモンドの石目に付いて言えば、もう一つ重要な事があります。例えば、指輪に1.00という数字が刻印されています。これは、1キャラアップと1キャラ未満では価格が大きく変わってくるのです。0.996を切り上げか、1.001を切り捨てしたのかということです。消費者として石目だけを見るとしたら、ほんの小さな違いなのかもしれませんが、私どもには大きく関ることなのです。
 次に、(11)の蛍光性について、少し触れておきましょう。まず、蛍光性とは、物質が吸収したエネルギーを光として放出する現象の事です。光には目に見える『可視光線』とX線のように目に見えない光があります。ここで鑑別に利用する光は、『可視光線』より波長の短い光で、目に見えない光を利用します。この検査の事を紫外線蛍光性検査といいます。宝石には、紫外線を照射したときの、蛍光反応に特有なものが多く、鑑別上の大きな手がかりになってきます。  ダイアモンドの長波紫外線による蛍光性と、ダイアモンドの類似石の蛍光性は、その特性に大きな違いがあるのです。われわれ質屋にとっても、ダイアモンドを鑑別する有効な手段のひとつとして用いられています。



 '04/02/15 鑑別書・鑑定書について(其の弐)
  以下3回に渡って私どもが鑑定書・鑑別書のどういう項目を見て参考にしているのかということを、ご説明しましょう(あくまでも私のお店に関してですが)。 いろいろな鑑別機関の鑑定書があります。これから挙げる項目の順番はそれぞれ違います。
例として、中央宝石研究所の鑑別書で説明をしてみます。
 
  1. 鑑別結果
  2. 透明度と色
  3. カットの形式
  4. 重量
  5. 寸法
  1. 写真
  2. 屈折率
  3. 比重
  4. 偏光性
  5. 多色性
  6. 蛍光性
  7. 分光性
  8. 拡大検査

以上の項目が左右欄に分かれて書かれています。左欄は外観について表示されています。 右欄は、精密機械を用いて宝石を客観的に測定した項目が挙げられています。 (1)か(12)まで説明をするのは少し専門的になりすぎますので、私が個人的に重要と思って参考にしている項目をクローズアップしてみましょう。
まずはなんと言っても、右欄の(6)写真が最も重要です。 今、手にした商品と写真に写っている商品が同じかどうかということが、第一の判断になります。石の大きさが極端に小さいとか、周りのデザインが違っている等。別の鑑別書を持ってきていることも多々ありますので、注意が必要です。
次に重要なのは、(1)の鑑別結果です。
例えば、赤い石の指輪があったとします。きれいな宝石なのですが、『天然ガーネット』と表示されています。誕生石などで好きな人もいますので、こういう言い方をすると申し訳ないのですが、よっぽど大きくない限り、価格的にはルビーに比べたら安くなります。しかし、この赤い石が鑑定の結果で、『天然ルビー』と表示されていたら、ガーネットに比べ格段に高い宝石です。このように鑑定結果によって、宝石の価値は大きく変わってくるのです。




 '04/01/31 鑑別書・鑑定書について(其の壱)
   今回は、少し専門的になりますが、指輪やネックレスなどの商品についてくる保証書・鑑定書・鑑別書についてお話しようと思います。この1枚の書類の内容によっては、査定の結果に数千円、中には数万円の差が出る場合もあります。私ども(質屋)が、その書類の何処に着目し、どのように金額をはじき出し、また真偽を判断するのかということを、4話に分けて少しだけお話しましょう。

皆様は、鑑定書と鑑別書の違いについて、お分かりになりますか? まず、鑑定書について。これは対象をダイアモンドに限定して発行されている点が大きな特徴です。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、『4C』について評価したものをいいます。(『4C』については、また後ほどご説明いたしましょう。)
 次に鑑別書について。これはダイアモンド以外の色石を鑑別したものをいいます。 鑑定書や鑑別書を取り扱う機関は、全世界にたくさんあります。しかし、日本で信用度の高い機関は数社になります。ちなみに私のお店で信用して取り扱う機関の例を挙げますと、≪中央宝石研究所≫≪全国宝石学協会≫≪AGTジェムラボラトリー≫などです。 私事で恐縮ですが、ここ最近、店に持ち込まれるものに多い書類の機関名として、  ≪○国宝石研究所≫などというものがあります。非常に紛らわしい名称ですが、信用度が違います。信用度によっては評価も全く変わってきます。皆様も、お手持ちの物がありましたら、一度確認してみたらいかがでしょうか。



 '03/12/30 金について(其の弐)
  金を鑑定していて「?」がよぎったとき、ルーペを取り出しての「旗マーク」の確認と比重計による比重測定が念入りになります。お客様を疑うわけではありませんが、例えばネックレスやブレスレットの場合、旗マークのあるカン(留め金部分)に、金メッキの本体をつけたものがあったりするわけです。こういう品物は、重さ以前にデザインのアンバランスさなども判断の一要素になります。金製品の中には、空洞のものもあります。宝石などがついている場合は、比重を量ることも困難です。我々質屋でも戸惑うことの多い金製品です。多少の知識を持ち、賢い消費者になるよう心がけておくことも自分の財産を守ることの一歩ですよ。

質屋として品物を見る場合、勘からすべてが始まるわけではないので勘違いにご注意を! 商品の価値を瞬時に判断できるよう、そしてちょっとした油断で判断ミスを起こさないよう、日々知識と経験と努力を積み重ねています。お客様に安心してお店を利用していただけるように・・・



 '03/12/15 金について(其の壱)
 今回は質屋で扱う取引商品の中でも、主要な質草の一つである金についてお話しましょう。 お客様が金の商品を持ってきたとき、まず、見た目で重さを推測します。次に手にとってそれを確認します。この二つの重さのギャップが激しいと、「?」がよぎることになるんです。

ここで、金についてちょっと専門的な話に触れておきます。
 まず、金と一概にいっても、金の純度によってK24、K18、K14・・・といろいろあります。一般的には24分の1の単位で表します。金の含有率で表すと、24金は100%(いわゆる純金)、18金が75%、14金が58.3%、9金が37.5%です。そして、我々質屋に持ち込まれる商品のほとんどは、18金です。なぜなら、それが流通の大半を占めるからでしょう。金の価値からいえば純金に勝るものはありませんが、その性質上軟らか過ぎるために、製品にするには不都合な点が多く、避けられがちです。
 金には、その品質を証明するマークが刻印されています。日本製の場合は造幣局のマーク(「旗マーク」と呼ぶ)です。旗マークのなかに「750」と打ってあれば18金、「1000」と打ってあれば24金です。
 次に、金の見極めをするのに大切なことは、比重を量ることです。18金でも14金でも合金比率によって比重に多少の違いが出てきます。例えば、赤色の18金は「ピンクゴールド」と呼ばれ、比重は15.18です。同様に、白色のそれは、「ホワイトゴールド」で14.64、黄色のそれは、「イエローゴールド」で15.58になります。ちなみに24金(純金)の比重は19.36です。18金の場合、比重を量ってみて14.6〜15.5ぐらいあれば、まず大丈夫ということになります。


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