このテーマで以前お話をしましたが、今回は我々質屋が一番多く取り扱っているであろう(それは大げさかもしれませんので太田質店では一番多く取り扱っている)ブランド「ルイ・ヴィトン」についてお話をしようと思います。
このブランドは高い創造性と品質を誇るブランドとして、世界にその名を知られるようになってきました。もちろん最近は日本国内でも多くの「ルイ・ヴィトン」商品が出回るようになってきました。それに伴い、我々質屋にも多く持ち込まれるようになりました。ただ、頭に入れておかなければいけないことは、このブランドは常に新しい分野の製品の開発に力を注いでいるということです。そんなに知られていなかった時計やジュエリーの分野にまでも最近は進出してきました。こうした努力により、ますますブランドの中でも選りすぐられたメーカーになってきたと思います。
ちなみに(後述する年表を見ても分かると思いますが)、昔からブランドバックのメーカーとして存在してはいたのに、なかなか一般の人が手に入れることが出来なかったのは、商品が高額だったのはもちろんのことですが、販売店が少なかったということもあります。最初に「ルイ・ヴィトン」の商品を手にした日本人はどこの県の人だと思いますか。意外にも(!?)高知県 ( 土佐 ) の人だったみたいです。高知県の人は流行の最先端をいっていたのでしょう。
まず、この「ルイ・ヴィトン」を作っている会社について。1987年に「ルイ・ヴィトン」社とモエ・ヘネシー社の合併によって「LV・モエ・ヘネシーグループ」が設立されました。この会社が現在の会社です。このグループにはもちろん社名にもあります「ルイ・ヴィトン」、それとお酒の「ヘネシー」や「ホワイトホース」などの洋酒を販売している会社が属します。また、その他に、(1)クリスチャン・ディオール(2)エミリオ・プッチ(3)マーク・ジェイゴブス(4)フェンディー(5)ダナ・キャラン(6)トーマス・ピンク(7)ジバンシー(8)ケンゾー(9)クリスチャン・ラクロワ(10)ロエベ(11)セリーヌ(12)ベルルッティーなどがこのグループの傘下にあるのです。しかも、ウォッチ・ジェエリー部門には、(13)タグ・ホイヤー(14)ショーメ(15)エベル(16)フレッド(17)ゼニス(18)クリスチャン・ディオール(19)オーマス ( 高級文房具 ) (20)デブアスLV ( デビアスグループと折半出資による合弁会社 ) などがあります。ですから、「ヴィトンは好きではないけど、ロエベは好き。」などといっている人がいても、結局一緒のグループの物を好きになっているということになります。ただ(1)から(20)までのブランドの各々が独自の特徴を持ち、消費に与えるイメージも違うため一概にそう言える事ではないのですが、グループは同じという事を覚えていたら、違った見方も出来るのではないでしょうか。
1821年 |
創業者ルイ・ヴィトン( Louis Vuitton )生まれる。 |
1835年 |
14歳になった初代ルイ・ヴィトンは、養母との折り合いが悪くなり、わずかなお金を持って家出。2年後、パリに着いたルイ・ヴィトンはオペラ座に近いカプシーヌ大通りにあった荷造り用木箱製造兼荷造り職人の見習いになる。 |
1854年 |
パリのカプシール通り4番地に世界初の旅行靴専門店をオープン。従来は蓋の丸いトランクから、灰色のキャンバス地を使った積み重ねのできるトランクを作成。 |
1857年 |
ジョルジュ・ルイ・ヴィトン誕生 ( 創業者ルイ・ヴィトンの長男、2代目当主 )( George Louis Vuitton ) |
1860年 |
パリ郊外アニエール市の現在地に工場を移す。 |
1867年 |
パリ万博博覧会においてトランクが銅メダルを受賞。 |
1868年 |
亜鉛を素材にした丈夫なトランクを考案する 。 |
1872年 |
ベージュをベースに赤のストライプ模様の入った「レイエ・キャンパス」が考案された。 |
1875年 |
ドレス専用ケース「ワードローブトランク」を発表。
「レイエ・キャンパス」が茶色とベージュに変更。 |
1880年 |
「ルイ・ヴィトン社」の経営が2代目ジョルジョ・ルイ・ヴィトンに引き継がれる。 |
1883年 |
ガストン・ルイ・ヴィトン誕生(ジョルジュの長男、3代目オーナー) |
1885年 |
イギリスのロンドンに海外1号店をオープンする 。 |
1888年 |
市松模様の「ダミエキャンパス」が発表される。
このダミエ・ラインは日本の市松模様をヒントに考案された。しかし、人気が高くなりコピー商品が多くなったため、数年の間トランクに使用されただけで姿を消してしまったモデルです。 |
1890年 |
2代目当主ジョルジョが世界初の5枚羽の真鍮製キーユニットを考案し特許を取得する。 |
1892年 |
創業者ルイ・ヴィトンが逝く 。
オーストラリアで初めてルイ・ヴィトンの製品を発表。 |
1894年 |
インドシナにてアジアで初めてルイ・ヴィトン製品が発売された。 |
1896年 |
LVと3種類の花と星をあしらったモノグラム・キャンパスが誕生(これはニセモノのコピー商品対策として考案された) |
1898年 |
アメリカのデパートにルイ・ヴィトン製品が置かれるようになった 。 |
1901年 |
現在も販売されるスティーマーバックは船や汽船で旅行する人たちが旅行中に洗濯物を入れるカバンとして誕生した。 |
1908年 |
キャンピングカー自動車デザイナーのケルネルの協力でキャンピングカーの先駆けとなる自動車をデザイン。 |
1909年 |
ヘリコプターパリの航空ショーでヘリコプター・ヴィトンを展示。 |
1911年 |
ガストン・ルイ・ヴィトンの長男として4代目当主アンリ誕生。 |
1914年 |
シャンゼリゼ通り70番地に世界最大の旅行用専門店のパリ本店をオープン。 |
1924年 |
現在も人気が高いキーポールは当初トランクやスーツケースに入れて使用する補助バックとして誕生する。 |
1925年 |
ココ・シャネルの依頼によりアルマを製作。 |
1932年 |
巾着カバンのノエはシャンパンを持ち運ぶために考案された。 |
1936年 |
2代目ジョルジュ・ヴィトンが死去する。 |
1951年 |
3代目当主ガストンの次男クロードの長男として5代目当主パドリック・ルイ・ヴィトンが誕生( Patrick ・ Louis ・ Vuitton )。 |
1954年 |
創立100周年を迎え、本店をパリのシャンゼリゼ通りの本店をマルソー通り78番地に移転する。 |
1959年 |
現在のモノグラムの素材であるトワル地のソフト・キャンバスコットン地に樹脂加工を施したものを発表。 |
1970年 |
3代目当主であるガストン・ルイ・ヴィトン死去する。 |
1978年 |
東京と大阪にアジア初めての支店がオープン 。 |
1981年 |
ルイ・ヴィトン ジャパンとして株式会社を設立し、直営店1号が東京銀座にオープン。 |
1983年 |
世界最大のヨットレース「アメリカズカップ」のスポンサーになり、予選がスタート。 |
1984年 |
パリ証券取引所及びニューヨーク証券取引所に株式を上場する。 |
1985年 |
クレイン ( 型押し ) レザーを使用したエピ・ラインを発表。 |
1987年 |
モエ・ヘネシー社とルイ・ヴィトン社とが合併して世界最大のブランド流通グループ企業 LVHM が誕生。 |
1989年 |
ルイ・ヴィトンミュージアムがパリ郊外のアニエール市にオープン。 |
1993年 |
ビジネスや旅行に用いるメンズのタイガー・ラインを発表。 |
1996年 |
「モノグラム・キャンパス」誕生100周年記念。
「ダミエ・ライン」が再登場し、革の変更を経て新生ダミエ・ラインとしてよみがえる。 |
1998年 |
アメリカ人若手デザイナー「マーク・ジェイコブス」がプレタポルテラインのディレクターに任命される 。
「マーク・ジェイコブス」が「モノグラム・ヴェルニ」ラインを発表。 |
1999年 |
「モノグラム・ミニ」を発表。 |
2000年 |
「ダミエ・ソバージュ」「モノグラム・グラセ」ラインを発表 。 |
2001年 |
「モノグラム・グラフィティ」「ジュエリー・ライン」を発表。 |
2002年 |
「コント・ドゥ・フェ」ラインとルイ・ヴィトン初の時計「タンブール」を発表。 |
2003年 |
「スハリ・ライン」を発表。村上隆とマーク・ジェイコブスのコラボレーションでマルチカラーラインが登場。
4月ゴート・レザーの新作「サハリ」が登場。 |
このように、ルイ・ヴィトンは創業から1世紀半の歴史の積み重ねにより、皆様から愛
されるブランドの上位に位置するようになりました。我々質屋も決してなくならないであ
ろう質草の一つとして、日々努力をして大切に取り扱っていこうと思っております。